深澤
「THE OUTLINE」というのは「輪郭」という意味です。僕は過去に『デザインの輪郭』という本を書いたのですが、自分の中の概念として「みんなが無意識に見ている、あるいは思い描いているのに見えていない、わからない輪郭を導きだす」というデザインに対するイメージがあって、その「どういうふうに導きだすのか」ということが興味の対象として面白いのではないかと思っていたのです。
それと、一般的にものの写真というのは、はっきりとそこにある実像を「わからせる」ことだと思っている。たとえば「フォーカスが合ってない」ことを「ピンボケ」と言って悪い写真になってしまう。藤井さんの写真は、いつも周りの空気や光に溶け込んで対象物が写り込んでいるから、ある意味、輪郭があまりはっきりしない。でも、よく考えてみると、そのほうがリアルなんです。人間はあるポイントにフォーカスすると、他の部分は見えてないもの。だから、彼の撮ってる写真のほうが、一般的に思い込んでいる世界よりもリアルだということを知って衝撃を受けました。
藤井さんの写真に写っている「輪郭」はビジュアルとしての輪郭、実際のものです。僕のデザインの「輪郭」は生活の中の人間の記憶とかいろいろなものですから「輪郭を割り出す」という感じがあります。そんなふたつの意味合いを含んでタイトルにしたわけです。