深澤

たとえば天井から下がった照明器具のケーブルがちょっと太いとかいう、みんなが生活の中で潜在的に気にかかっているエラーを見つけ出し、今までに変わらなかったスタンダードを頑張って修正するのです。最初は「なんだ、全然変わっていない」とか言われるかもしれませんが、比べてみると「ああ、良くなっている!」という感じがわかってくる。そうすると、もう元の太いケーブルには絶対戻れないのです。その微妙な違いは「あまり変わらないから前のままでいい」とはならないのです。全員が共有している潜在的な引っかかり、自分さえあまり気付いてなかった思いをすくいあげるということが、より良いデザインを成すのだと思います。

変なたとえですが、人の顔も「あの人は美人、あるいは美男子だな」と思いつつ、「もう少しここがこうだったら、完璧なのに」というように、みんな同じ小さな破綻部位に気付く(笑)。それはもう完璧が見えているということなのです。9割完成していてどこかが破綻していると、人の意識はそこに集中するのです。ですから、たくさんの人がどうでもいいと思うくらいの小さな破綻が、実は大きいのです。世界を変えるのは、ちょっと変えればいい。それが劇的に変わるのです。だから、それを探し出す。

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